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ティシューエンジニアリングセンター
−工業技術院研究所を中心にした取り組み−

東京大学大学院工学系研究科  立石 哲也


目的:
ミレニアム再生医療プロジェクトの一環として多種類の細胞を生体中にある状態と同様に組織化し、組織・臓器の持つ高次な機能を再現した三次元細胞組織モジュールを生産し、産業・医療における実用的利用に供するための諸技術を総合的に確立する。(建設地:尼崎、総工費30億円、2002年度竣工)

1.三次元細胞培養技術の開発
細胞に対する物理・化学的、生化学的刺激を用いて、細胞に特定の機能を誘導する技術および組織化する技術を開発し、機能性の細胞組織を形成する。また、この種の目的に適合し、生体内で次第に分解して細胞組織に置き換わるスキャッフォールドの開発を行う。細胞に対する作用因子を部位特異的に含むスキャッフォールドを開発し、細胞機能の発現と複雑な構造を有する細胞組織モジュールを形成する。

2. 細胞機能化技術開発
 分化した組織から当該組織の幹細胞を探索し、特定組織の形成と機能化技術を開発する。幹細胞を特定の構造を持つ組織に分化誘導し、生体内と同様の機能を有する組織モジュールに組織化する技術を開発する。細胞の分化誘導を部位特異的に行う、あるいは複数の幹細胞を用いた複雑な構造を持つ組織を形成する技術の開発を行う。胚性幹細胞(ES細胞)については、その研究の進展に応じて、関西を中心とする研究機関と連携しつつ、その応用技術についても検討する。

3. 細胞組織化に関わるゲノム探索、組織化制御
 細胞の組織化、機能化に関与するタンパク質およびそれをコードする遺伝子を探索し、その制御と応用を図る。ゲノム解読によって得られたデーター、細胞の遺伝子解析、およびケミカルジェネティックスの手法を用いて、当該遺伝子とその産物の機能の解明を行う。さらに、プロテオーム技術を応用して、細胞の組織化にかかわるタンパク質とそれら分子間の相互作用を解析する。得られた知見をもとに、遺伝子・タンパク質レベルで細胞を制御し、細胞の分化誘導、組織化、効率的な組織化、癌化の防止技術の開発を行う。

4. 動物実験代替法の開発
 細胞組織モジュールを用い、化学物質の人体への影響を評価するための代替試験法デバイスを開発する。電子、電気的な計測手法の細胞組織への応用技術の開発が重要な要素技術となる。薬効試験用評価・検査用デバイスとしての利用などの用途に応じ、共同研究を行って、現場での利用に有用なものを研究・開発する。さらに、ヒトに特異的に作用すると考えられる環境ホルモンなどのモニタリング(バイオエコモニタリング)への応用も図り、人間生活全般に対する安全・生活の質の向上に寄与することを目指す。

5. セルプロセッシングセンター
(池田市大阪工業技術研究所内オープンスペースラボ)

高度に制御された実験設備(セルプロセッシングセンター)を用いて、単一の細胞から、細胞組織、さらに医療用デバイスまでを一貫して生産する技術の開発を行う。上記技術によって開発された細胞組織化技術を用い組織モジュールを形成すると共に、さらに生体内に埋め戻し、機能すことのできるデバイスとしてまとめ上げるまでの全ての技術要素を検討し、開発する。特に感染、細胞の癌化などを常時モニターしながら、細胞を組織化する技術を形成する。このために、細胞組織の状態モニター技術なども合わせて開発する。セルプロセッシングセンターは動物実験用だけでなく、ヒト細胞用のものを作り、必要に応じて企業・医療機関と提携して運営を行う。
なお、同じミレニアム再生医療プロジェクトとして理化学研究所発生・再生科学総合研究センターが2000年4月、神戸市に発足、これと協力して再生医療の基礎から応用に至る産官学の幅広い研究開発体制を確立する。
                                          
Tissue Engineering Center
Tetsuya Tateishi
Department of Mechanical Engineering, Tissue Eng. Lab. University of Tokyo.