National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) This page is a page of the former research institute. We stopped updating on March 31.2001.
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1.総  説

 平成6年度においては,年度末近くではあったが,融合研本館の整備,国際共同実験棟の完成などにより,これまで各所に散在していた研究者がいよいよ一堂に会し研究を開始することができた。
 融合研の運営に関連しては,第2回評議員会を開催し,また,ワークショップ,シンポジウムの開催,共催などを行った。
 研究テーマとしては引き続きアトムテクノロジー,クラスターサイエンス,バイオニックデザインに関する研究を行った。

1)研究テーマ
 a)アトムテクノロジー
 アトムテクノロジーにおいては,オングストロームテクノロジ研究機構との共同研究契約に基づき,アトムテクノロジー研究体(JRCAT)としての活動を行い,巨大磁気抵抗などに関し新しい知見が得られた。また,JRCAT主催で第2回国際シンポジウムが開催された。
 b)クラスターサイエンス
 クラスターサイエンスにおいては,溶液クラスター解析装置によりにクラスターデータの蓄積が進んだ。また,表面クラスター解析装置を完成し,ゼオライト中のクラスター特性発現解明などの研究を発展させた。
 c)バイオニックデザイン
 バイオニックデザインにおいては,硬組織として骨細胞の増殖等について調べ,力学的負荷がかかると細胞増殖活性が進むことを明らかにした。軟組織では,多孔質材料が細胞組織工学に必須であり,生体材料とのハイブリッド化が有効であることを示した。
 d)フィージビリティスタディ
 また,今後新たに取り組むべきテーマの事前調査のためフィージビリティスタディ研究を行っているが,有機超格子,破壊プロセス,ブレインサイエンス,新機能リボザイムの4テーマを実施した。

2)研究者の構成
 開放的な研究体制を実現するよう,研究者はさまざまな機関からいろいろな形態で研究に参加しうる。たとえば国立研究所からは異動や併任で,民間機関からは研究交流促進法に基づく任期付採用や共同研究者として,海外の機関からは採用を行ったり,また招へいによって参加しうる。これらの研究者すべてについて,融合研での研究への参加について有限な期間を設定する。
 平成6年度においては研究交流促進法による日本人の任期付き採用1名及び外国人の任用3名,他省庁の研究者の併任2名,大学教授・助教授の併任3名,大学からの転任1名,民間からの共同研究者45名,科学技術特別研究員1名が参加している。(平成6年3月31日現在)

3)国際交流
 国際交流を推進するため,外国人の招へい,海外での成果の発表を積極的に行うとともに,融合研での研究状況を報告し,また広く世界の研究者が意見交換することによりその研究を促進するため,国際ワークショップを開催することとしている。6年度にはアトムテクノロジー(JRCAT主催),クラスターサイエンス及びバイオニックデザインに関して開催した。
 参加者は,アトムテクノロジー国内245名,国外30名,合計275名,クラスター国内80名,国外30名,合計110名であり,バイオニックデザインでは国内80名,国外15名,合計95名であった。
 クラスターサイエンスワークショップのプログラムは,「クラスターの構造とダイナミックス」と「ゼオライト中のクラスター」の2テーマで行われた。
 バイオニックデザインワークショップのプログラムは生体の機能と構造の再構築に関するワークショップ「バイオマテリアルと細胞・組織工学」であった。
 また,海外からの招へい者は93名(融合研招へい短期78名,長期4名,STAフェロー1名,AISTフェロー2名,JRCATフェロー6名,ATPフェロー2名),海外への派遣は71名(内ATP26名)である。

4)公正な評価
 産業技術融合領域研究所では所の運営,研究方向に関して国内外の一級の研究者の意見を聞くため評議員会を設けている。
 6年3月17日に第2回評議員会が開かれた。主な意見は次のとおりであった。

 (参考)評議員会名簿 (姓名)  ”(所属機関)  ”(役職)” 相澤 益男”東京工業大学”学部長” 井口 洋夫”岡崎国立共同研究機構”研究顧問” 猪瀬  博”学術情報センター”所長” 植之原道行”日本電気株式会社”特別顧問” 江崎玲於奈”筑波大学”学長” 大沢 文夫”愛知工業大学”教授” 輕部 征夫”東京大学先端科学技術研究センター”教授” 菊池  誠”東海大学”教授” 桜井 靖久”東京女子医科大学”教授” Shu Chien”カルフォルニア大学生体医工学研究所”所長” 徳丸 克己”香港科学技術大学”教授” 豊沢  豊”中央大学”教授” 林  厳雄”光技術研究開発株式会社”顧問” Hans J.Queisser”マックス・プランク固体研究所”所長” 廣田 榮治”総合研究大学院大学”学長” Hellmut Fritzsche”シカゴ大学”教授” Robert F.Curl”ライス大学”教授” (50音順) (参考)融合研設立の背景及び特徴  科学技術の進展は世界全体の発展の原動力であり,科学技術の創造は基礎研究により推進される。即ち基礎研究は世界の発展の文字どおり基礎をなすものであり,世界の共通財産として利用されるべきものである。しかし市場の力では,直ちには利益を生まず,リスクが大きい基礎研究への投資は過小となることから,政府の積極的な支援が必要である。特に我が国はその経済力と科学技術力に照らし積極的に取り組む必要がある。
 基礎研究,特に近年その重要性が飛躍的に拡大している横断的・融合的研究領域における研究の推進のためには深い専門知識と多分野の知見が必要であり,我が国のみならず世界中から様々な分野の一流の研究者が参加し交流しつつ研究を行うことが重要である。
 また,世界全体としての利益を増進するために独創的,創造的研究成果の発信を行い,産業科学技術の国際的な流通・移転を図る必要がある。
 このような概念を実現する機関として,平成5年1月1日に産業技術融合領域研究所は設立された。
 産業技術融合領域研究所では,このため以下の特徴を備えることとしている。

1)開放的な研究体制
所属する研究機関の壁を越え,工業技術院の研究所のみならず,国立研究所,大学,民間等,さまざまな分野の研究者の積極的な参加のもと集中共同研究を推進する体制。
2)流動的な研究体制
研究テーマの内容や研究フェーズに即応して,研究者が適時に機動的に参加できるような流動性の高い体制。
3)国際性あふれた研究体制
国内の研究者に加え,海外の研究者も容易に参加することができ,また国際ワークショップの開催,研究成果の公表等を積極的に行い,国際的な情報創造・発信の役割を担える体制。
4)公正な評価を行う研究体制
融合研では基礎研究を行うという観点から,研究リーダーに実質的に強い権限を与え,そのリーダーシップの下で研究を推進することとしているが,公正な評価を行うため,外部の意見を取り入れることのできる体制。


特 別 研 究 [注]数字は研究期間(年度)

[国際基礎]
・クラスターサイエンスに関する研究 4〜9
・バイオニックデザインに関する研究 4〜9
産業科学技術研究開発制度
・原子・分子極限操作技術 4〜13
経 常 研 究
・原子集団の自己組織化に関する基礎研究 4〜13
・クラスターの形成過程に関する基礎研究 4〜9
・生体模倣材料要素の開発に関する基礎的研究 4〜9
科学技術振興調整費
[重点基礎]
・原子レベルでの静的動的構造評価法の基礎に関する研究 6
・クラスターの形成過程に関する研究 6
・生体組織再構築に関する研究 6
共 同 研 究
・原子・分子極限操作技術(アトムテクノロジー)の研究開発 4〜13
・大気圧プラズマ重合による新しい血液回路用材料に関する研究 6
・細胞・組織工学用材料に関する研究 6
・クラスターサイエンスに関する研究及びバイオニックデザインに関する研究 6
・多孔質材料を用いた3次元素材の動物固定化技術への応用 6
・骨再構築過程の解明および利用に関する研究 6
電源多様化技術開発評価
・発電環境用高機能素材形成技術 5〜13