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産業技術融合領域研所究所長 末松安晴
新しい年を迎え、皆様方に賀正の挨拶を申し上げます。
さて、当研究所は創立以来はや4年目を迎えました。昨年の5月にはそれまで各所に分散していた研究室の移転・結集作業が一応完了し、また、国際共同実験棟も竣工し、それまでの不便さが解消されて密度の高い討論の場が確保されることになり、本格的に研究を行う環境が整備されてまいりました。この間、当研究所に対して寄せられた工業技術院各位の手厚い御支援、他の研究所からの適切な御配慮、多大な御支援、また、大学、企業、ATP等からの御協力に深謝いたすところであります。そして、移転などの中にもかかわらず、優れた研究成果を次々とあげられた研究者各位、就中、献身的な御努力を惜しまれなかった職員諸氏の努力を多とするものであります。
申すまでもなく当研究所は、既存の専門分野と組織の壁を越えて、国際的な協力の下に産業技術の基礎に関わる学際的新分野の開拓を行うことであります。この使命を達成し、健全な運用を行うために、外部の傑出した有識者の評価を仰ぎ、さらに、工業技術院の研究所群の共有財産としても機能しているところであります。こうした目的のために、企業との連携に加えて、筑波大学、東京理科大学との連携、国内・国外の大学との共同研究、そして、各種の国際的研究集会等を積極的に開催し、一方では研究所を公開し、加えて、他の研究所長の方々に説明会を開催して当研究所への理解を深める等の努力を行っております。更に、今後は、研究者の出身母体との間で成果を共有するなどの配慮が必要であると思います。
昨年は、評議員会が2回開催され、秋の評議員会では、1)研究成果は概ね好評との有り難いご講評をいただき、また、2)次の研究テーマの探索が必要であり、さらに、3)テーマ終了時の処理の仕方をつめる問題がある、などの貴重なご意見を頂戴いたしました。
世界的にも例が少ない時限付きの研究グループによるプロジェクトの推進には、周りのご理解とご支援を得ながら英知をもって対応することが重要であり、新プロジェクト探索への取り組みも大きな課題であります。その観点から、昨年、中間時点に入った特別研究プロジェクトの中間評価やフィージビリスタディ(FS)のヒアリングなどを実施して、将来の可能性を探ってまいりました。また来年度については、次世代光基盤技術研究の可能性を探るプロジェクトと、そのための建物建設も始まることになっております。
さて最近、わが国の科学技術の研究環境に大きな変化が起っております。すなわち、昨年11月に科学技術基本法が国会で制定されて国が科学技術の意義を認識してその推進に責任を負うこととなったこと、今年の初夏には、科学技術会議において向こう10年間程度の科学技術推進のための基本的な考え方が策定されるということ、また、昨年の1次と2次にわたる補正予算によって産業技術の基礎研究推進などのための施策が大々的に行われ始めたこと等があげられます。
幸いにして、当研究所には格別な投資がなされているところであります。しかし、本当に優れた研究成果は研究者各自の努力と飽くことのない対話からのみ生まれるものであり、次の新しい方向を生み出すことこそが最も望まれている成果であります。汗をかき口角泡を飛ばして、初めて独自の着想が生まれ、将来にむけた課題が発掘されます。3桁先の展望や無用の用から、また、所内のプロジェクト間の学術的融合から新しい芽が生み出される可能性が高いものです。こうした意味合いから、融合研懇談会のようなグループの壁を越えた討論にはぜひ積極的に参加していただきたいと思います。そうして、融合研で共に研究生活を送ったことが誇れるような環境を作り上げてゆきたいものと思っております。
当研究所のような優れた研究環境は、元気な大学院学生が加わればより成果が大きくなると思います。そのために大学院の連携先をもっと拡大すべきでありましょう。幸い本院関係各位のご理解を頂いて、近々、筑波地域に大学院学生用の大がかりな宿泊施設が建設されて、学生達が研究・討論に集まれる環境が整備されることになっております。また、優れた研究の場は、次世代の人材育成の有力な場としても機能するものであり、すでに当研究所が外部への有力な人材供給の役割をも果たしていることは心強いことであります。
最後に、本年は当研究所の本格的な活動のための年であると確信しております。この新しい年への船出に際し、皆様方の御健闘を祈り、御協力をお願いして挨拶とさせて頂きます。
