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産業技術融合領域研究所アトムテクノロジーグループの十倉好紀技官(東京大学工学部物理工学科教授)を中心とする研究グループでは、この程、液体ヘリウム温度領域で磁場を印加すると電気抵抗が10桁以上(絶縁物から金属まで)変化する画期的な巨大磁気抵抗効果を発見した。既に内外の主要研究機関と基礎物性に関する共同研究が開始されており、今後は企業研究所と応用デバイスの可能性を探る共同研究を広く呼びかける。 上記の効果を発見した物質は、ペロブスカイト型酸化物と呼ばれる物質群の一つで、プラセオジウム、カルシウム、マンガン及び酸素からなる化合物である。この物質では、構成元素中のプラセオジウムに対するカルシウムの量を増加させキャリア(電荷担体;電子、あるいは正孔のこと)を注入しても、温度を下げるとキャリアが規則的に配列するため電気抵抗の大きな絶縁体となってしまうことが知られていた。 今回この物質の単結晶を作製し、液体ヘリウム温度付近まで冷却して磁気抵抗効果を調べたところ、零磁場下では107Ωcmより大きかった抵抗率が約3テスラ以上の磁場になると約10−3 Ωcmにまで減少し、絶縁体から金属への変化が起こった。履歴性があるものの、この抵抗変化は10桁以上である。また抵抗変化は数桁小さくなるが、同様の現象は100K(液体窒素温度は77K)でも見い出され、温度の上昇とともに履歴性は小さくなることもわかった。この現象には物質の磁気的な変化が密接に関係しており、外部磁場の増大とともに反強磁性体から強磁性体へ変化していく過程で、電気抵抗にも絶縁体から金属への変化が見られる。今回の発見は、将来の応用として磁場で駆動できる新しいメモリーやスイッチング素子登場の可能性を脹らませるとともに、注入されたキャリアの規則的配列を磁場によって融解させている(磁場によって絶縁体から金属へ転移)という点で、基礎研究の面からも大変興味深い。 今後は相変化を起こす磁場をより小さく、温度をより高くする研究及び物質探索を行うとともに、磁場による絶縁体から金属への相変化についてさらに詳細な研究を進める予定である。基礎物性に関しては、東京大学物性研、米国オークリッジ国立研究所など内外9機関と共同研究を開始した。なお、今回の発見は米科学誌Physical Review Lettersに投稿中である。
[負の磁気抵抗効果]外部磁場を印加すると電気抵抗が減少する効果で、外部磁場を印加すると逆に電気抵抗が増加する場合は正の磁気抵抗効果と呼ばれる。
