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磁性超薄膜・超構造の研究
アトムテクノロジーグループ
鈴木 義茂(左写真)
本小グループでは、磁性体超薄膜・表面、および表面上の超構造の生成とその物性の研究を行なっている。表面の研究の歴史は長いが、今までの研究はもっぱら清浄表面の物性と吸着の研究という基礎的学問を指向したものであった。これに対し、最近、積極的に表面に磁性人工格子などの超構造を生成し、新しい物性を引き出し、さらにそれを電子機器などに利用しようという研究が盛んになってきている。これは、もともと応用色の強い磁性薄膜の研究と基礎指向の強い表面の研究との融合と言ってもいいだろう。
日本では、多くの薄膜研究者がこの分野に参入し、磁性人工格子による光磁気記録装置の開発や感度の高い巨大磁気抵抗ピックアップの開発に世界に先駆けて成功している。しかし、これらの研究の基をたどると前者はデュポン社が後者はパリ南大学が最初の基礎的な発見・発明をしている。
さて、融合研では、どのように、独創的基礎研究を実現すべきか.....?
筆者は、現在、この分野に於て、巨大磁気抵抗効果の発見、振動的磁気結合の理論的解明と多大な成果を上げているパリ南大学に滞在し、筆者等が発見した超薄膜における磁気光学効果の増大・振動現象の理論的研究と超高真空中で超高感度に磁気光学スペクトルを測定する装置の開発を行なっている。パリ南大学電子基礎研究所のレナード博士のグループは、もともとハルデンギャプ磁性体NENP(整数スピン1次元ハイゼンベルグ系)の発見で有名な低次元磁性体の研究グループであるが、最近、超薄膜・人工格子の分野に進出した。その理由を聞くと、「低次元系バルク結晶では、研究予算が取れない」という率直な答えが帰ってきた。実際、フランスの研究予算は年々減少傾向にあり生き残りは熾烈である。研究計画の討論会では見込のないテーマは徹底的に批判される。約200人規模の研究所にFAXとコピーマシンが一台ずつ、電話は職員約3人に一台。Mac一人一台など夢である。
このような、環境で確実に基礎的成果を積み上げている第一の理由は優秀な人材であり、第二の理由を強いてあげれば、理論家と実験家の緊密な関係にあるように思われる。融合研では、広範な分野の優秀な研究者と緊密な関係を作り集中研の実を上げたいと考えている。
