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大気圧プラズマグロー放電による生体適合性向上

          バイオニックデザイングループ

                     児玉  亮・野見山弘章*

 低温グロープラズマの材料表面修飾が簡単に、また確実にできる有用性は明らかで、半導体や太陽電池材料等の応用もなされている。また、医用材料への抗血栓性等の生体適合性の付与、向上を目的とした表面コーティング、表面グラフト重合が行われている。

ヲグロー放電によるプラズマ処理は、バルクの性質を保持しながら表面のみの処理が可能であるなどの利点を有しているが、今までは真空条件が必須であるために、被処理材の性状によっては処理が困難である場合もある。そのため、形状や物性などの制約を受けることになる。軟質チューブの内表面処理などは非常に複雑な装置が必要となり、工業化への応用に支障をきたしていた。

 今回私達は、近年開発された大気圧グロープラズマ処理法(Atmospheric Pressure Glow Plasma: APG Plasma)を応用することで、大気圧に近い圧力でグロー放電プラズマ処理を行いプラスチック医用材料の表面改質を試みたところ、良好な実験結果が得られたので紹介したい。

 用いた軟質塩化ビニル(PVC)チューブの内面処理を行うにあたり、図1に示した処理装置を製作した。電極は、プラスチック樹脂にて円筒状に成型した内面に、高圧側、設地側電極を二重らせん状に配置したものを作製し使用した。

 6.5×8.4mmの軟質PVCチューブを円筒型電極の内側にセットし大気圧下、ヘリウムガス2000ml/min.、処理ガス(モノマーガス)5ml/min.の流量にて混合し、この混合ガスをチューブ内に連続的に導入後、混合ガス雰囲気中に高周波電圧を印加しグロープラズマを5〜20分間照射することにより処理を行った。処理ガスとしてNH▼3, Tetra‐fluoroethylene(TFE)を用いた。表面処理結果は接触角、ESCA, FT・IR‐ATRより確認した。表1は接触角結果である。NH▼3ガスだと親水化し、TFEだと疎水化している。

 未処理PVCチューブでは,表面に家兎多血小板血漿(PRP)を加えると、血小板の吸着、形態の変化を多数認めたが(図1.A)、APG Plasma処理によりTFEをコーティングされたPVCにおいては、その表面で血小板の吸着はわずか(図2.B)で、付着した血小板においても形状はよく保たれていた。

以上のように、APG Plasma法を行い、PVCチューブ内表面の改質を試みたところ、PRPを用いたin vitro試験においてもすぐれた抗血栓性を示し、本法が医用材料の表明改質に有用であることが示唆された。

なお、本研究は上智大理工学部小駒、岡崎等の研究グループと協力して行われている。      (*川澄化学工業株式会社)

図1 大気圧グロー放電プラズマ処理装置



                     
表1 接触角の結果 Contact Angle( °)
NH3 47
untreated 90
treated 113

  

   A:未処理 PVC (X 2000)    B:TFE 処理 PVC (30min., X 2000)

       図2 兎PRPに接触させたPVCの走査電子顕微鏡写真