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研究分野紹介

グループリーダー 田中 一宜
「アトムテクノロジー」
田中 一宜
融合研は、研究領域の融合を図るばかりでなく、産学官あるいは内外の研究者が一堂に会し、日夜顔をつきあわせ、議論をしながら研究を展開していく場でもある。研究者の出身組織や国はそれぞれ独自の文化を持っているので、それらの反応と融合から新しい知恵が生まれないものかと期待するのである。このことを実践するプロジェクトが平成4年4月にスタートした。大型プロジェクト「原子分子極限操作技術」、略称「アトムテクノロジー」プロジェクトである。10年間で約250億円の予算規模で行なわれるが、従来の大プロと比較すると、プロジェクトの性質や進め方が大きく異なっている。
本プロジェクトでは、新素材、エレクトロニクス、バイオテクノロジーなどの各種産業分野における共通基盤技術として、固体表面上(2次元)あるいは自由空間内(3次元)において、原子・分子を1個1個精密に観察・操作する技術を体系的に完成させることを狙いとしている。また、研究開発の進め方としても、いわゆる持ち帰り研究による分散方式はとらない。融合研と技術研究組合「オングストロームテクノロジ」研究機構(平成5年2月設立)との共同研究契約にもとづいて、産学官からの全研究者が融合研に結集する集中共同研究方式が採用されている。
全体計画10年のうち、第1期(6年間)における開発基本計画の項目は以下の通りである。@固体表面原子・分子観察操作技術、A空間内原子集団観察操作技術、B有機分子等構造観察操作技術、C原子・分子プロセス理論技術。図は、これらのイメージを描いたものである。
かように、本研究プロジェクトは、長期的な基礎研究を指向するものであり、また、融合研という国立研究所が初めて集中共同研究の場として使われる。これらの新しい試みが21世紀を支える技術パラダイムを生むかどうか。制度を生かすも殺すも人次第と、われわれ気を引きしめている。(たなか かずのぶ)
