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クラスターサイエンスグループ

研究期間 平成4年度〜平成9年度(6年間)
工業技術院特別研究(国際基礎研究)


■目的

クラスターサイエンスグループでは、物質の存在形態の変化(凝縮、結晶化、相分離など)や化学反応(燃焼反応、気相合成)で重要な役割を果たすクラスターの特性を解明し、新たに見出された特性の有効な利用法に関する研究を行っている。物質が安定に単離して存在できるには、ある数以上の原子や分子が集合する必要がある。構成する原子・分子の数が少ないクラスターの場合には、表面に存在する原子・分子の割合が多く、反応性が高いことが予想される。事実、クラスター同士が衝突すれば、成長や分解をし、また他のものと衝突すれば反応したりして変化する。つまり、クラスターの最大の特徴は、安定に単離して存在できないことにある。この様子をダイナミッククラスターと我々は呼んでいる。このクラスターの特性を調べるには二つのアプローチがある。一つは、

○原子や分子が集合することにより、どのような新たな構造や特性が出現するのかそしてそれは何故か?

という方向である。これは原子・分子から出発し、その2量体、3量体などと数を増やしていくことによりクラスターの特性の変化を明らかにしようというものである。もう一つは、

○超微粒子(バルクの最も小さいもの)をもっと小さくするとその特性がどのように変化するか?

というアプローチある。

さて、クラスターといっても、強く結合したものから、非常に弱い力で結びついているものまで様々である。炭素やケイ素原子などが集まった共有結合によるものや、金属原子が集まった金属クラスター、これらと比較すると弱いが、水に代表されるかなり強い水素結合によるクラスター、そして非常に弱いファンデルワールス力で結びついているクラスターなどに分類される。

また、クラスターの存在形態としては、真空中で他の原子や分子と衝突しない条件で存在できる気相でのクラスターや、比較的弱い結合で結びついているクラスターはバルクでは液体というイメージになる。つまり液体や溶液は様々な変化するクラスターの存在形態ということになる。クラスターは安定に単離しては存在しないので、その特性を利用するには何らかの安定化を図る必要がある。ただし、安定化するには母体が必要となる。母体とクラスターとの相互作用が弱い場合には、クラスターの特性が反映され、クラスター特性を調べる手法として利用できる。一方、母体との相互作用が強い場合には、その相互作用を含めた新たなクラスターの特性が発現することになる。後者を積極的に利用し、他の形では存在できない少数の原子・分子からなるクラスターを作製し、その特性を調べることもクラスターサイエンスの重要な分野である。

これらの研究から、クラスターの特性を明らかにし、新たな物質科学の進展に貢献するのがこの研究の目的である。もちろん現在の段階では実験できない分野も多く、また、観測した結果を説明するためには、シミュレーションを含む理論の果たす役割が重要と考えられる。