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分子構築グループ


■目的

ものを小さく作ることは人類に大きな利益をもたらす。半導体に見られるように高度な機能を小さくパックすることができるし、その製造・作動のエネルギーを小さくできることからエネルギー・地球環境の保全にも役立つ。この種の技術の行き着く先は分子を作動最小単位とする分子技術である。分子を配列・組み立てて分子レベルの機能組織を構築する技術は次世代の大きな技術領域になると期待されている。

一方、生体においては、蛋白質などの分子は、他の分子と集合・組織化して、さらに高度な構造と機能を発現させる能力を有する。この機能を利用して分子レベルの構造を分子自らが作り出す技術を開発することを目指している。

■成果

我々は高分子である蛋白質を材料として選び、分子をハンドリングして集合化する研究を進めてきた。この種の分子を並べてより大きな構造体を作り出す基礎技術を目指している。現在のところ、蛋白質分子の例としては光合成反応中心(RC:reaction center)を用いている。RCは光量子を受けて光電荷分離を行い、高いエネルギーレベルの電子を生成する“発電”分子である。分子素子などへの利用が期待される。我々のチームでは以下述べるように、RCの方向性を制御する方法を研究してきた。

(1)RCの分子ハンドリング

RCに親水性の蛋白質分子をsite-directedに結合させることにより、疎水/親水性の分布を改変することを目指している。RCとウマ心筋より抽出したチトクロムの複合体を化学架橋によって作った。水溶性の蛋白質が結合することにより分子内の疎水親水部分が大きく分極することになり、気水界面に展開した場合、分子の配向が揃うことが示された。また、リポソームに組み込む場合も同様に分子の配向性が大きくなることを見いだした。

(2)光エネルギーの捕獲分子システムの構築

クロロフィル集光リポソーム中に人工的な光エネルギーの捕獲・エネルギー伝達分子系を形成することを試みている。リポソーム中に人工的な光エネルギーの捕獲・エネルギー伝達分子系を形成した。リポソームにRCを埋め込み、クロロフィルをその周りに配置した3成分系を構築した。RCのみを組み込んだ系と比べると、光電変換効率、光ブリーチングが大きくなり、この系では、光エネルギーはクロロフィルに捕獲され、RCへ伝達されることが明らかになった。ホウレンソウから抽出したクロロフィルでもエネルギー伝達が起こることが確かめられた。クロロフィル等の色素分子はこの成分系で極めて安定であった。

(3)遺伝子操作技術による新規蛋白質の合成

遺伝子操作技術を用いて光合成蛋白質のアミノ酸シークエンスを改変することにより、蛋白質の物理化学的特性を変化させ、取り扱いやすく安定で、分子構築に適当な性質(自己組織化)を有する分子を創製することをめざし、光合細菌近Rhodopseudomonas viridisの遺伝子組み換えを行っている。RCを構成する4つのサブユニットのうち1つに水溶性蛋白質である蛍ルシフェラーゼを融合することに成功した。この種のキメラ蛋白質を含むRCの発現と特性評価を検討中である。

図1 リポソームに組み込んだ人工捕獲系


図2 遺伝子操作による配向配列用人工蛋白質調製